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伝統文化ギャラリー

機関誌「伝統と文化」

ポーラ伝統文化振興財団の活動や伝統文化に対する考え方を、現場取材を通じてご紹介している機関誌です。年一回発行し、全国都道府県の教育委員会、主要図書館、大学などへ寄贈しています。

皆様のご利便性を考え、「伝統と文化」40号からは、デジタルブック化をやめ、本誌をお送りしています。下記のメールにてお申込できます(41号無料・送料無料)。
また、web版 機関誌「伝統と文化」のご紹介では、本誌の概略をご覧いただけます。

※尚、1~34号に関しましては、引き続きご希望の方へ頒布いたします(在庫切れの号もございますので、ご了承ください)。1~34号のご購入はこちら
※35号以降は、頒布は行っておりませんので、ご了承ください(35~39号はデジタルブックでの閲覧ができます)。

web版 機関誌

「伝統と文化」41号のご紹介
平成29年11月30日発行
【目次】
【本誌41号のお申込み】

本誌をご覧になりたい方は、下記の必要事項をご記入の上、メールでお申込みください。(お一人様一冊限り)

  • お申込みメールアドレス:info@polaculture.or.jp
  • ① 件名:「機関誌41号申込み」
  • ② 記入事項:
  • ・ 送付先郵便番号
  • ・ 送付先住所
  • ・ お名前
  • ・ お電話番号
※機関誌をお申込みいただきました際の個人情報は、機関誌の発送、本件に関するお問合せ、当財団からの催し物のご案内のみに使用いたします。
※web版機関誌「伝統と文化」では、本誌の内容を抜粋してご紹介します。

【特集】漆の伝道師 室瀬和美の仕事

ウルシ には不思議な力があります。ウルシノキから採取する樹液は、優れた塗料、接着剤として機能します。日本の先人たちは、早くからそのことを知り、繰り返し長く使える器や道具を作り使いこなしてきました。
さらに、漆で模様を描き金の粉を蒔いて装飾する「蒔絵まきえ」という技法を生み出し発展させ、千年の生命をもつ美を創造し続けてきました。
「日本の漆文化は、子どもたちに伝えて未来へ受け渡す、21世紀に向けて発信してリードすることができる価値があると思います」と語る漆芸家・室瀬和美さんの仕事をたどりながら、漆の魅力と真髄を見つめます。

Image『蒔絵螺鈿丸筥「秋奏」』

室瀬和美の漆芸
白石 和己

室瀬和美さんは、蒔絵を主に活発な活動と制作をしている漆芸作家です。現代と強くかかわりながら、工芸界を積極的にリードしています。
日本の工芸は、大正末期から昭和初期にかけては激しく動きましたが、漆芸にもさまざまな運動が興りました。松田権六が創り出した新しい時代の漆芸は、日本特有の美を基本に自然の植物や動物を観察してデザインをつくることや、古典研究で得た精髄を制作に生かすことでした。
そして、その松田権六や田口善国の創作に対する考え方を受け継いだのが室瀬さんです。漆芸作家・室瀬春二の息子として生まれた彼は、東京藝術大学工芸科で漆芸技法を学ぶとともに、二人の大きな師の指導を受けます。創作活動を始めた彼は、日本伝統工芸展などに発表して注目を集めてきました。また、創設した目白漆芸文化財研究所では、古典作品の修復など文化財の保存に努めてきました。近年では古典から汲み取った技術や材料を生かし、自然の動植物などを題材にした現代的なデザインの優れた作品を発表しています。

白石和己しらいしまさみ 先生の略歴

昭和18年愛知県生まれ。東北大学文学部卒。文化庁文化財調査官、東京国立近代美術館工芸課長などを経て、三重県立美術館館長、山梨県立美術館館長を歴任。現在、式年遷宮記念神宮美術館館長、工芸評論家として幅広く活動。また、独立行政法人国立美術館運営委員、東京国立近代美術館評議員、公益財団法人ポーラ美術振興財団理事などを務める。
主な著書に『伝統工芸 木竹工』(至文堂)、『週刊人間国宝』(監修、朝日新聞社)などがある。

漆を金色で飾る

日本では、約9000年前と推定される漆塗りの副葬品が発掘されるなど、縄文時代早期には漆がすでに使われていました。塗料としての漆の優れた機能は、さまざまな木材を生活に取り入れて暮らすことを可能にしました。日本人の「木の文化」にとって、漆は欠かすことのできない大切なパートナーだったのです。
奈良時代には、器物に漆で模様を描き、その上に金粉などを蒔き付けて加飾する「蒔絵」の技法が生まれました。その後、蒔絵の技術は日本で独自に発展し、現在まで受け継がれています。こうして古くから日本人の暮らしのなかにあった漆は、その表現技法を蒔絵を軸として華開かせることになりました。
室瀬さんの代表作のひとつである『青松せいしょう 』(2006年)は、古典作品の調査・修復から学んだ 鑢粉やすりふん(金塊をやすりで下ろした金粉)など、伝統的な技術のなかでの現代的な意匠による表現が具現化された作品です。

Image『蒔絵螺鈿小箪笥「青松」』

時代ごとに革新を重ねてきた漆芸・蒔絵

千数百年の歴史をもつ日本の漆芸・蒔絵には、それぞれの時代ごとに、意匠・技法・素材の革新や発展を重ねてきました。室瀬さんは、「各時代に流行や使い手の好みがあり、漆工はそれに応える作品を制作していくうちに、時代ごとの個性を映した漆器が生まれてきたのではないでしょうか」と解説しています。

Image『車海老蒔絵乾漆八稜箱』

「秋奏」に込めた、始まりも終わりもない無限性

室瀬さんの作品『蒔絵螺鈿丸筥まきえらでんまるばこ秋奏しゅうそう」』は、ニューヨーク滞在中のセントラルパークでの散策から着想されました。レッドオークの葉を地模様にした丸箱の特長を活かし、リスが時空も超えて際限なく動き回る様子が立体的に表現されています。
作品には、木の実を白く表現するために新しい試みとしてチタン材を使い、リスの毛並みや躍動感を表すために、独特な光を放つ夜光貝の螺鈿を選択しました。そこに漆、螺鈿、蒔絵が複雑に重なり合って、少し動かすと違った景色が見えてきます。今回の作品は、技法と工夫を重ねてきた素材選びの相乗効果が、その蒔絵の表現とともに、オルゴールという音を奏でる箱としての音の響きにも活かされています。

調査や技術指導を通して、漆の価値観を拡げる

日本の漆器は、桃山時代から江戸時代にかけて数多くヨーロッパに渡り、japanと呼ばれ高く評価されました。
現在、蒔絵は美術として海外でも高い評価を獲得し、大英博物館でもメトロポリタン美術館でも、Maki-eという表記が使われています。一方、漆はいつの間にかLacquerが一般的になっているようです。そこで、室瀬さんは固有の特性をもつ素材として、「URUSHI」という日本語表記のまま、機会がある度に内外に発信し続けています。
また、長年、海外での漆文化の普及についても取り組んでいます。ロンドンのV&A博物館では同館の所蔵品の調査や修復技術の指導などを10年以上にわたり続けています。昨年はスペイン・バルセロナでワークショップや講演会も行いました。世界各地で、学生や一般市民に向けて、漆文化の真髄を伝えるための活動にも積極的・継続的に取り組んでいます。

漆に出会えるチャンスをつくりたい

室瀬さんは、若者や子どもたちへの漆文化の伝承・普及のための活動にも、継続的に取り組んでいます。その基本にあるのが「本物」との出会い。本物の漆や金粉を使ったワークショップをすることに、意味を感じているからです。「漆は日本人の感性、DNAだと実感します。教わるのではなく、思い出すのです。子どもたちが漆に出会えるチャンスを作ってあげなくてはと思って続けています」 一方で、漆のことを一般のみなさんや子どもたちに伝える、いわば発信の機会と場をつくりたいと考えて、2015年4月に、新たに『目白漆學舎』というスペースをスタートさせました。こちらは、若手工芸家や子どもたち、漆のことを知りたい、体験したい、勉強したいという人たちのために開放しています。
Image制作中の室瀬和美さん

室瀬和美むろせかずみ 先生の略歴

1950年東京生まれ。漆芸作家の父・室瀬春二氏の仕事を見ながら育ち、高校生のとき漆芸・蒔絵の道を志す。東京藝術大学大学院(漆芸専攻)修了。人間国宝の松田権六、田口善国に師事。旺盛な創作活動と並び、漆工文化財の保存・修復に取り組み、1996~98年に手がけた三嶋大社所蔵の国宝『梅蒔絵手箱』の復元模造はその後の創作活動に大きな影響を与えた。漆の美と素晴らしさを国内外で発信し続けている。日本伝統工芸展などにおいて、東京都知事賞など多数受賞。2008年、重要無形文化財「蒔絵」保持者(人間国宝)に認定。同年、紫綬褒章受章。
日本工芸会副理事長。
近著、『Maki-e Urushi 室瀬和美作品集』(新潮社図書編集室、2014年)。

Pickup

目白漆學舎

2015年に漆に携わる人の、新しい学びの場として設立。目白漆芸文化財研究所主催の工房として専門家向けの講座の他、一般向けの教室やイベントなども開催している。室瀬和美さんやご子息の室瀬智弥さん、室瀬祐さんも講師として活動している。
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TAKUMIの学び場

日本の伝統文化を次世代へとつなぐために、編集部が技術や理論などを学べるさまざまな機関を取材し、その概要や特色をご紹介していきます。

公益財団法人 米沢上杉文化振興財団
伝国の杜 置賜文化ホール「こども狂言クラブ」
地域一丸で支える、子供たちの芸の継承

山形県米沢市にある「伝国の杜 置賜文化ホール」にある能舞台。ここで開催された狂言ワークショップをきっかけに、平成17年に「こども狂言クラブ」が結成されました。常設クラブとなった背景には、子供たちと地域住民たちの「狂言」という伝統芸能に対する興味と、継承への熱心な取り組みがありました。芸の継承が子供たちの成長に大きい糧となる活動を地域一丸となり支えていることは、全国でも珍しい取り組みです。

Image体験コースの児童が笠を被り茸の役で初舞台

Image

公益財団法人 米沢上杉文化振興財団
伝国の杜 置賜文化ホール

所在地
電話
〒992‐0052 山形県米沢市丸の内一丁目2番1号
0238-26-2666
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伝えたい 美・ひと

伝統文化ポーラ賞を受賞された方々の受賞後の活動についてご紹介します。

今日も日本で鳴り響く明清楽みんしんがくの音色 (長崎明清楽保存会)

明清楽は、名前の通りに中国の明と清の時代に渡来した中国の音楽です。日本では幕末から明治期にかけて爆発的に流行し、当時の知識階級や音楽文化へ大きな影響を与えました。日清戦争を機に下火になり、口伝が多かった音曲が失われていきました。また、その後の戦災などで多くの楽器が散逸する歴史もありました。 保存会会長の山野誠之やまの せいし氏は、伝来初期の写本や古い音源などさまざまな史資料を基に、曲の復元と楽譜制作をし、演奏活動を続けてきました。現在、会員には演奏会を聴いて入会した中国の女性も加わり、2018年の日中平和友好条約40周年に向けて、新たな交流と飛躍が期待されています。

明清楽とは

明清楽は、今の中国が明であった時代と、清であった時代に、日本にもたらされた音楽です。ところが、今では中国では消滅してしまい、もう聴くことが出来なくなっている音楽でもあります。中国発祥でありながら、日本でしか聴くことが出来なくなってしまった音楽、それが明清楽なのです。 日本では幕末~明治期にかけて爆発的に流行し、日本の文化人や音楽文化へ大きな影響を与えました。坂本龍馬も明清楽を愛し、妻・おりょうに月琴を弾かせていたといわれています。

Image展覧会会場での演奏の様子(長崎歴史文化博物館提供)

長崎明清楽保存会

1969年、長崎の郷土芸能としての明清楽を継承・保存するために会が発足。1978年に長崎県指定無形文化財「長崎の明清楽」の保持団体認定。1999年伝統文化ポーラ賞・地域賞受賞。
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未来へつなぐSTORY

弊財団の助成先の方に、その成果のご報告と今後の課題について、
原稿をお寄せいただいています。

沖縄戦を生きた、舞踊家の心と身体の歴史
--華やかな舞台に潜む、琉球舞踊の足跡を記録する--
波照間 永子はてるま ながこ

琉球舞踊は芸術的・歴史的価値などが認められ、2009年に国指定重要無形文化財の認定を受けました。しかし、そこに至る道は決して平坦なものではありませんでした。本事業「琉球舞踊オーラル・ヒストリー映像アーカイブの構築 ~伝承の系譜を探る~」では、沖縄戦前後の激動期を生きた舞踊家たち4名を対象に、その足跡を記録するためにインタビュー映像の収録とともに、芸歴書、公演プログラム、公演映像、写真、新聞記事等のデータベース化を試みました。その成果は、『沖縄県史 各論編8 女性史』の中で公表したほか、報告書、論文など幅広く情報発信をしています。
なお、本事業は2007年度から2年間、ポーラ伝統文化振興財団の支援を機に開始し、文科省の科学研究費を得て継続、10年を迎えました。今後も舞台に至る先人のヒストリーを、真摯に記録・保存し、未来へつなげる使命を果たしたいと思います。

ご寄稿いただきました 波照間 永子はてるま ながこ

明治大学情報コミュニケーション学部 准教授
明治大学アジア太平洋パフォーミング・アーツ研究所 代表

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