文字サイズ

  • 大
  • 中
  • 小

伝統文化ギャラリー

機関誌「伝統と文化」

ポーラ伝統文化振興財団の活動や伝統文化に対する考え方を、現場取材を通じてご紹介している機関誌です。年一回発行し、全国都道府県の教育委員会、主要図書館、大学などへ寄贈しています。

皆様の利便性に配慮し、「伝統と文化」40号からは、デジタルブック化をやめて、本誌をお送りしています。下記のメールにてお申込みできます(無料)。
また、web版 機関誌「伝統と文化」のご紹介では、本誌の概略をご覧いただけます。

※尚、1~34号に関しましては、引き続きご希望の方へ頒布いたします(在庫切れの号もございますので、ご了承ください)。1~34号のご購入はこちら
※35号以降は、頒布は行っておりませんので、ご了承ください(35~39号はデジタルブックでの閲覧ができます)。

web版 機関誌

「伝統と文化」44号のご紹介
2021年3月31日発行
【目次】
【本誌44号のお申込み】

本誌をご覧になりたい方は、下記の必要事項をご記入の上、メールでお申込みください。(お一人様一冊限り)

  • お申込みメールアドレス:info@polaculture.or.jp
  • ① 件名:「機関誌43号申込み」
  • ② 記入事項:
  • ・ 送付先郵便番号
  • ・ 送付先住所
  • ・ お名前
  • ・ お電話番号
※機関誌をお申込みいただきました際の個人情報は、機関誌の発送、本件に関するお問合せ、当財団からの催し物のご案内のみに使用いたします。
※web版機関誌「伝統と文化」では、本誌の内容を抜粋してご紹介します。

【特集】東京に華咲く江戸文化

江戸時代、江戸の地には日本各地から様々な文化が伝播してきました。
それらの文化は江戸で醸成され、時代が変わり、「東京」と呼ばれるようになっても、大きな花を咲かせ続けています。
今回の機関誌では、地方で産声を上げ、江戸(東京)の地で昇華した工芸や芸能の無形文化を特集します。Discover Tokyo. Discover Japan.
「江戸切子」「江戸つまみかんざし」「神田囃子」「二十五菩薩来迎会」を、
大友真希先生(伝統工芸)と、川﨑瑞穂先生(民俗芸能)にご紹介いただきます。

Image協力:株式会社堀口切子/神田囃子保存会/
イシダ商店(つまみかんざし博物館)/九品山 唯在念佛院 淨眞寺

伝統と革新が交錯し続ける、東京の江戸文化

1603年に徳川幕府が開かれた江戸は、その後265年という長きにわたり、各地から様々な文化を摂取し、最新の流行を発信する一大中心地として発展していきました。開化期の東京では、国内産業の奨励を目的とした「内国勧業博覧会」が開催され、全国各地の優れた工芸品が集まり、有形の伝統文化の交流のきっかけとなりました。大正時代に入ると、東京青山の日本青年館で開催された「郷土舞踊と民謡の会」を皮切りに、全国の祭礼や舞踊が東京の舞台に上るようになります。本特集では、江戸から東京に変わる中で遺っている「無形文化」を紹介します。

江戸切子 願いを刻んだ文様が輝く、江戸の手わざ

江戸切子は、江戸時代後期に金剛砂こんごうしゃを研磨剤に用いてガラスにカット加工を施したことに始まると伝わっています。明治以降は薩摩切子の技術が伝播し、現在に続く江戸切子の技が築かれました。現在、江戸切子は東京都を中心都市、関東近県において、総勢100名ほどの職人が制作に従事しており、日本のみならず海外でも、その精緻な技から創り出される輝く硝子の器が、高い評価を受けています。

伝統文様に込められる願い

人類は古くから、厄や邪気を払い、願いや祈りを捧げるために建築、衣装、家具、調度品といった様々なものに文様をあしらってきました。江戸切子でガラスに刻まれる麻の葉、亀甲、七宝、籠目、魚 の卵がモチーフの「魚ななこ子」といった伝統文様にも、時代を超えて、職人たちが使う人に向けた願いや気持ちが込められています。

Image三代秀石・堀口徹さん。秀石とは、初代・市雄さんが江戸切子作家として名乗った号。
現在、堀口切子において特に優れた商品の箱書きには「秀石」の落款を押している

ポーラ創業80周年を記念した化粧品容器を監修・制作

堀口さんは、2009年に株式会社 ポーラからの依頼を受けて、ポーラ創業80周年を記念した江戸切子による化粧品容器を監修・制作しました。伝統的な切子文様を生かしながらも現代的アレンジを加えたデザイン。光を反射し大胆かつ繊細に輝くカットには、職人の高い技術を見ることができます。
三代目の弟子・三澤世奈さんは、既存の枠に捉われず、化粧品の容器に切子ガラスで挑んだ堀口さんのその作品に感銘を受け、江戸切子職人の道へ入りました。

Imageポーラ《B.A ザ クリーム江戸切子》

Image三澤世奈さん(Photo by Miki CHUJO)

株式会社堀口切子

〒132-0025東京都江戸川区松江5丁目10番2号
https://kiriko.biz/

神田囃子
心を躍らせる、江戸の音文化

神田囃子が奏されるのは、「天下祭」ともよばれる、江戸三大祭の一つ「神田祭」。祭りとは、ごく簡単にいえば、何らかの形で「聖なるもの」(カミ)と人が交流すること。所説ありますが、神田囃子は紀州和歌浦(現在の和歌山県)から江戸時代にこの地に来たとも言われています。現在では江戸文化を象徴する色彩感に富む音色を伝えています。

Image「東京神田神社祭礼之図」(西村藤太郎,一鵬斎芳藤)
(国立国会図書館所蔵)

神田囃子保存会

神田明神の神楽殿を拠点に活動。
毎週火曜日の19~22時に稽古を行っている。
見学も可能。
Image(神田囃子保存会)

江戸つまみかんざし
日本の暦と結びついた、女性の装身具

日本女性の黒髪を彩る「江戸つまみかんざし」。髪を花や葉で飾るということは、男女を問わず、日本ではいにしえより行われてきた。源氏物語においても光源氏と頭中将が髪に草花を挿し、雅楽を舞う場面が描かれている。つまみかんざし職人が一枚ずつ手作業で織り咲かせる絹織物の花は、江戸時代に江戸土産として流行した。時代を超え、現代においてもその技術は脈々と受け継がれている。

Image

Image石田毅司さん

Image羽二重のつまみ片を並べ花を形づくる

イシダ商店(つまみかんざし博物館)

〒169-0075
東京都新宿区高田馬場 4-23-28 ヒルズISHIDA 401
営業時間:水曜日と土曜日のみオープン 午前10時~午後5時/入館無料
https://kanzashi.org

二十五菩薩来迎会
形あるモノと見えないモノを結ぶ、祈りの姿

東京都世田谷区奥沢の九品仏・浄真寺(浄土宗)に伝わる「二十五菩薩来迎会」は、奈良県・當麻寺の「聖衆来迎練供養会式」に倣ったものであると考えられています。「来迎会」は、阿弥陀如来の来迎を立体的に表現する儀礼として、かつては江戸(浅草や深川)でも行われておりましたが、東京ではここだけに遺る貴重な行事です。

Image架け橋を渡る菩薩たち

九品山 唯在念佛院 淨眞寺

〒158-0083
東京都世田谷区奥沢7丁目41-3
開門時間:6:00~16: 30
行事予定はホームページを参照:https://kuhombutsu.jp/

「都市が生む伝統文化の創意と継承」
安室 知

東京における伝統文化は、すでに都市として先行していた京都や奈良から取り込んだものがある一方、江戸から東京へという都市の成熟とともに生み出され、洗練されてきたものという二面性を持っている。東京には古きを守るだけではなく、変容することを楽しみ、そこに伝統や美を見いだす感性がある。祭礼や芸能であれば、祝祭性を高め、より観客の目を意識したものになり、工芸であれば、作家性の重視という方向に向かうことになる。
江戸から東京へ、近世から近代そして現代へという変化の中にあって、こうした江戸の伝統文化を時代とともに創意する力は、都市の伝統文化として受け継がれていくときの原動力になっている。

安室 知やすむろ さとる

Image安室 知さん

現在、神奈川大学国際日本学部教授、日本常民文化研究所所長、博士(文学)。民俗学(生業論・環境論)および物質文化論を専門とし、日本を中心に東アジアの農山漁村でフィールドワークをおこなっている。

1959年、東京都生まれ。
筑波大学大学院環境科学研究科修了。熊本大学助教授、国立歴史民俗博物館教授、総合研究大学院大学教授等を経て現職。
著作に『水田をめぐる民俗学的研究』(1998年)、『水田漁撈の研究』(2005年)、『日本民俗生業論』(2012年)、『田んぼの不思議』 (2014年)、『自然観の民俗学』(2016年)、『都市と農の民俗』(2020年)、『餅と日本人(増補版)』(2021年)などがある。

大友 真希 Maki Otomo

染織文化研究家。多摩美術大学生産デザイン学科テキスタイルデザイン専攻卒業後、メキシコ国立人類学歴史学大学(ENAH)へ留学しインディヘナの染織文化を調査。帰国後、神奈川大学大学院歴史民俗資料学研究科修士課程修了。日本国内の染織工芸産地を訪れフィールドワークを行い、技術伝承における「風合い」の経験・感覚的認識について探求。現在、多摩美術大学 芸術人類学研究所所属。展覧会をキュレーションするなど学芸職に従事しながら日本・メキシコを中心とした染織文化の調査・研究を行っている。

主な執筆に「民具短信 民具を語る」(『民具マンスリー』4月号、神奈川大学日本常民文化研究所、2017年)、「伝統工芸記録映画解説(工芸・染織部門)」(ポーラ伝統文化振興財団ウェブサイト、2018年)などがある。

川﨑 瑞穂 Mizuho Kawasaki

日本学術振興会特別研究員(神戸大学)。非常勤講師(聖心女子大学・帝京大学・東京電機大学・西武文理大学)。文化庁非常勤調査員。川崎市文化財調査員。日本民俗音楽学会理事。民俗芸能学会評議員。国立音楽大学大学院博士後期課程修了、博士(音楽学)。ソルボンヌ大学(パリ第4大学)留学。

2012年日本ジラール協会 「ライムンド・シュヴァーガー記念論文賞」受賞。
2013年遠野文化研究センター「佐々木喜善賞」受賞。
2015年日本風俗史学会 「日本風俗史学会研究奨励賞」受賞。
2016年日本科学協会 「笹川科学研究奨励賞」受賞。
2017年川崎市・川崎市教育委員会・川崎市文化協会「川崎市文化祭奨励賞」受賞。
2018年日本民俗音楽学会「第1回小島美子・藤井知昭記念日本民俗音楽学会賞」受賞。
主著『徳丸流神楽の成立と展開―民族音楽学的芸能史研究―』(第一書房 2018年)。

TAKUMIの学び場 VOL.5

日本の伝統文化を次世代へとつなぐために、編集部が技術や理論などを学べるさまざまな機関を取材し、その概要や特色をご紹介していきます。

人と風土が育む、備前焼の新たな息吹

備前焼の中心地である岡山県備前市に2011年に開設された備前陶芸センターは、1年間の研修を通して土作りから轆轤の扱い方、窯を使用した焼成まで学ぶことができる教育・研究機関です。 研修生の吉野祐汰さん(24)は、将来は伝統的な備前焼の技を活かし、使うほどに味わいを増す作品を作りたいと語ります。

Image備前焼作家の大石橋宏樹氏によるろくろ指導。現地の第一線で活躍する作家たちによる、後世の育成が盛んに行われている。

備前焼:釉薬を施さず、焼き締めのみで土の持つ土味を引き出し、多彩な景色を表現するやきものです。朝鮮半島から伝わった須恵器が発展したもので、弘安元年(1278)の「備前福岡の市」を描いた絵巻『一遍聖絵』にも備前焼が登場します。現在では、岡山県備前市を中心に生産が行われています。
Image備前焼について、楽しそうに語る
吉野さん

備前陶芸センター

備前焼の振興と発展・技術の継承を目的とし2011年に岡山県から協同組合岡山県備前焼陶友会に移行し開設された、備前焼を実地に学ぶ教育・研修施設。

[所在地]〒705-0001 岡山県備前市伊部974-2
[TEL]0869-64-2453
[MAIL]bizentogeicenter@ceres.ocn.ne.jp
[FACEBOOK]https://facebook.com/222662734610619/
ページトップへ戻る

伝えたい 美・ひと VOL.10

伝統文化ポーラ賞を受賞された方々の受賞後の活動についてご紹介します。

古典の音の面白さを、時代と共に伝え続けたい

藤本昭子さんは、地歌箏曲家の故・藤井久仁江(人間国宝)の長女として大阪で誕生した。 これまで日本伝統文化振興財団賞、文化庁芸術祭新人賞、第 28 回伝統文化ポーラ賞奨励賞 など、数々の受賞歴を持つ。「地歌を未来に繋げていく」という強い想いを胸に、SNS での 発信や地歌ライブなど、幅広い活動を行っている。「習得までに時間のかかる日本の音楽は、 すぐに形にしたい若い人には中々受け入れられないかもしれません。けれども、時間をかけ ればかけるほど、次のステップは面白くなる。その「真」を見極められるような人を育てて いきたいと思っています」

Image母の藤井久仁江と(昭和44年12月6日 朝日生命ホール)

Image藤本 昭子さん

藤本 昭子

九州系地歌箏曲演奏家。幼少より祖母阿部桂子、母藤井久仁江(人間国宝)に箏・三弦の手ほどきを受ける。

1988年 NHKオーディション合格、初放送出演。
1995年 第1回リサイタル開催。現在まで17回開催。
2001年より、古典の新たな可能性を追求する「地歌ライブ」を連続開催。現在まで96回開催。
2019年 高橋翠秋、鶴澤津賀寿、善養寺惠介と共に「SATZ」結成。
2020年4月 CDアルバム「雪墨」リリース。演奏活動の母体として「藤本昭子の会」設立。欧米各国で「地歌公演」多数開催。

これまでに、日本伝統文化振興財団賞、第28回伝統文化ポーラ賞奨励賞、文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞、文化庁芸術祭音楽部門大賞受賞。(公社)日本三曲協会会員。正派音楽院講師。
ページトップへ戻る

未来へつなぐSTORY VOL.9

弊財団の助成先の方に、その成果のご報告と今後の課題について、
原稿をお寄せいただいています。

箏曲の新しい発展を願って開催された
「第27回賢順記念全国箏曲祭箏曲コンクール」

Image第1位賢順賞を受賞した大川 義秋さん


2020年12月、第27回賢順記念箏曲祭は新型コロナウイルス渦中でも文化の灯りを消すことなく実施し、成功を収めた。本箏曲祭は、箏を現在の形に発展させた、久留米で修業を積んだ賢順という人物を記念して始められた箏曲祭である。日本唯一の箏曲コンクールであり、若人の登竜門となっている。

Image若宮八幡宮縁起 江戸中期

Image左下:箏曲発祥之地記念碑

小島美子こじまとみこ 略歴

1929年福島県生まれ。
東京大学文学部国史学科卒、東京芸術大学音楽学部楽理科卒。
国立歴史民俗博物館教授、江戸東京博物館研究員を経て、現在は国立歴史民俗博物館名誉教授。
成立した瞬間に消える音楽の歴史をいかに捉えるか、また日本のすべての階層の人々、日本列島に住む人々の音楽の歴史をダイナミックに捉えたいと考えている。

助成概要

事業名 一般社団法人賢順記念全国箏曲祭振興会
助成期間 令和2年4月~令和3年3月
目的 若手筝曲家の発掘と育成。優れた筝曲の鑑賞機会の創出。
ページトップへ戻る