第28回 伝統文化ポーラ賞 優秀賞

  • 藍田 正雄(あいだ まさお)
  • 68歳
  • 群馬県
「江戸小紋の制作・継承」
江戸小紋とは、型紙を使って精緻な文様を染める技法で、江戸時代には武士の裃や式服に盛んに用いられた。各藩はそれぞれ独自の小紋を考案し、江戸中期になると町人の間にも広まり、その技術と美意識は現在まで受け継がれている。
藍田さんは、かつての技法の復元に取り組むとともに、伝統の技術に新しい技法を導入、新たなる色彩の世界を切り開いて江戸小紋の制作と継承に大きな役割を果たしている。藍田さんの特徴的な技術である「板引き杢(いたひきもく)」は、型紙で細かい縦縞をつけて部分的に生地を引っ張ってずらしその上に同じ縞を重ねて置く、すると微妙な縞のずれでモアレ(別の縞模様)が生まれ、杢目のような流麗な模様が現れる技法である。日本伝統工芸展での入選31回という輝かしい実績もさることながら、若い後継者の育成にも積極的に取り組むとともに、アメリカやフランスなどでの実演活動にも意欲的である。藍田さんはいまなお、小さな柄に大きな夢を膨らませ続けている。
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