第28回 伝統文化ポーラ賞 地域賞

北陸・甲信越・東海
  • 岩野 平三郎(いわの へいざぶろう)
  • 77歳
  • 福井県
「日本画用和紙の製造・振興」
越前和紙は、1500年以上の歴史を持つ。中国、朝鮮半島、そして日本へ伝わりこの水質の良い、寒さの地に根付いた。代々の岩野家は、初代岩野平三郎氏が横山大観画伯の依頼で5.4メートル四方の岡大紙を漉き、また二代目の平三郎氏は薬師寺復興写経紙を生み出すなど美術界を下支えした家系であった。岩野さんは、昭和28年より家業の日本画用和紙の技法の習得、研鑽に入った。滑らかな肌合いと色が鶏の卵に似ていることから鳥の子と呼ばれる越前鳥の子紙の技法を始め、麻紙や雁皮紙など和紙独特の靭皮繊維の特質を生かした高品質の日本画用和紙の研究を積み重ねた。特に、鳥の子紙に「打雲」「飛雲」「水玉」といわれる模様を表現する際に、型紙を使わずに模様を出す卓越した技術により昭和50年には福井県の無形民俗文化財保持者の指定を受け、同時に三代目岩野平三郎を襲名した。東山魁夷画伯が奈良の唐招提寺御影堂で制作した障壁画群の用紙や平山郁夫画伯が描いた薬師寺の玄奘三蔵院の大唐西域壁画にも使用されるなど後世に残る画用和紙を生み出し、現在日展などに出品される日本画のほとんどが岩野さんの作品である「雲肌麻紙」に描かれているといわれている。まさにその貢献は永く、広くそして多大である。
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