第30回 伝統文化ポーラ賞 地域賞

鬼来迎「大序の場」
(撮影:花澤信幸氏)

  • 鬼来迎保存会(きらいごうほぞんかい)
  • 千葉県
「鬼来迎の保存・伝承」
成田空港の東南およそ15kmに位置する横芝光町の虫生(むしょう)地区の広済寺で毎年8月16日に演じられる鬼来迎は、仮面をつけて演じる地獄芝居で、「大序」「賽の河原」「釜入れ」「死出の山」の4段構成で地獄の責め苦と救済を描いている。平安時代以降、浄土信仰に基づいて成立・展開した練供養や来迎会の仏教法会の流れを汲んでいるといわれるが、鬼来迎は、来迎会の儀礼を母体としながら、歌舞伎の技や、スペクタクルな演出をふんだんに取り入れている。かっては成田市ほかの千葉県内のいくつかの地域で行われていたが、現在では全国で現存する唯一の地獄劇として、早くから保護の対象となり、昭和51年には国の重要無形文化財に指定された。鬼来迎を継承する虫生地区は25戸からなる小さな集落であり、継承の困難さは並大抵でない。しかし、保存会にはすべての家から参加することになっており、理屈抜きにやるものだという意識を村全体が持っているからこそ続いてきたのだという。
近年、新たに3人の若者を迎え新しいメンバーで全てを演じることができ僅かだが安堵感も生まれ、保存・継承に一層力が入っている。
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