第30回 伝統文化ポーラ賞 地域賞

  • 丹下 哲夫(たんげ てつお)
  • 86歳
  • 岡山県
「備中和紙の制作・伝承」
和紙制作が起こって千年と伝えられた旧川上郡備中町清川内。丹下哲夫さんは昭和21年にこの地で家業の和紙づくりの道に入り、今日まで60余年にわたり和紙を漉き続けてきた。昭和39年、新成羽ダムの建設に伴い清川内は水底に沈み、清川内紙の名は消えたが、丹下さんは倉敷市に工房を移転。受け継がれてきた伝統の技法・技術によって制作を続けながら、さらに「生きもの」といわれる和紙づくりに創意工夫を重ねてきた。氏の研ぎ澄まされた高度な技から生み出される和紙は備中和紙と名付けられ、特に書道用紙は滑りや発色がよく、美しい線が出ると全国の書家、画家から高い評価を得ている。また昭和41年完成の料紙「鳥の子」は東大寺昭和大納経の用紙として挙用された。さらに制作過程の技術的解明にも取組み「手漉和紙の出来るまで」他を発表するなど、和紙文化の継承・発展に貢献している。昭和58年の労働大臣賞(現代の名工)など数々の賞を受賞し、また平成16年には岡山県指定重要無形文化財に認定されている丹下さんですが、86歳の今も和紙への情熱は溢れんばかり。「紙は心で漉く」を信条として備中和紙の制作にそして後進の指導、育成にと元気に歩み続けている。
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