第31回 伝統文化ポーラ賞 地域賞

平成20年8月下旬頃の漆掻き作業風景

  • 安島 道男(あじま みちお)
  • 81歳
  • 茨城県
「漆掻き技術の保存・伝承」
安島道男さんは、昭和5年茨城県大子町頃藤で生まれ、茨城県大子町で漆掻き(樹液採取)を始めたのは30代の頃からである。以後、50年にわたり地道に従事してきた。日本で使われる漆のうち90%以上が中国産を占めており、国内で採取されるものはごく僅かである。その中でも茨城県は全国第2位の生産量を誇り、その品質は非常に透明性があり高く評価され、岐阜の飛騨春慶にも供給されている。漆掻きは、山間部において6月頃から9月頃まで行い、1本の木からは僅かに年間200t未満の採取であり、特に夏場の暑い時期が最盛期の非常に過酷な労働である。漆液は漆の木が傷つけられると樹自体が傷を治そうとして漆液を分泌する。漆掻きは鎌を正確に漆層に差し入れることにより、不純物のない純粋な漆液を採取することができる。安島さんの掻く漆はその技術もさることながら、美しい光沢の漆液の性質で、漆塗りの人間国宝や、地元の漆工家から長く信頼されてきた。また、安島さんは平成23年2月に大子町で開催された、「うるしフォーラム・イン・大子」においては、「記念植樹」の企画に尽力し、また、漆掻き職人の後継者育成にも力を注ぎ、自分の持っている技術の伝承に努めている。安島さんのこれまでの地道な取り組み、そして漆掻きの高度な技術の伝承と後継者の育成が、我が国の漆文化に果たす役割は非常に大きい。
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