第32回 伝統文化ポーラ賞 奨励賞

平成21年頃、素焼をした素地に緑釉を施釉しているところ

  • 鈴木 徹(すずき てつ)
  • 昭和39年生まれ
  • 岐阜県
緑釉陶器の制作・継承
 鈴木徹さんは、昭和39年多治見市に生まれ、昭和62年龍谷大学文学部史学科卒業、昭和63年京都府陶工職業訓練校成形科を卒業後、志野や織部など桃山時代に焼造されたやきものの伝統と歴史が残る岐阜県多治見市で作陶活動を展開している。
 鈴木さんは、その中で銅緑釉を基本に作品の制作を行っており、その緑色の釉薬を施したやきものは、美濃では織部と称して極めて馴染みの深いものだが、自身が生み出すそのやきものに織部の名を付けていない。鈴木さんの言葉を借りれば、「織部という範疇では語ることができないような作品をつくりたい、美濃という地域を超えた仕事をしたい」という思いがあるからだ。
 作品は、長方皿、浅鉢、深鉢、壷、茶碗、組皿、湯飲みなど多岐に亘り、そして共通して見られる特徴が、とくに力をいれている泥刷毛目や櫛目状の線彫りなどの手法であり、また、釉薬の濃淡の変化は緑一色といってもその色合いは深く、濃淡の違う数色の緑釉を模様の強弱に応じて意識的に使い分け、さらに深みが増すように計算している。
 平成3年日本伝統工芸展入選以来18回入選し、他にも数多くの賞を受賞している。
また、平成9年には日本工芸会正会員となり、日本橋三越本店美術画廊、名古屋松坂屋本店美術画廊など数多くの個展を開催している。
 今後、ますますの活躍が期待される陶芸家である。
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