第32回 伝統文化ポーラ賞 地域賞

平成24年7月20日
虫送り踊の一場面

  • 鹿子原虫送り踊保存会(かねこばらむしおくりおどりほぞんかい)
  • 島根県
鹿子原虫送り踊の保存・伝承
 島根県西部の県境付近に邑智郡邑南町が位置し、この地に古くから伝わる民俗芸能のひとつが石見地域矢上地区鹿子原集落の「鹿子原虫送り踊り」である。この踊りは、農作物に取り付く害虫を追い払う儀式として古くから伝わっているもので、毎年七月二十日の土用の入り、地元三穂両神社を皮切りとして、炎暑の中、商店街・役場・農協等で踊りを披露し地元氏神の諏訪神社で終わる。踊り子は大太鼓6名、小太鼓3名で、いずれも季節の花「ネム」の花にあやかり赤色粉で染めた和紙を垂らした饅頭笠を被り、揃いの浴衣に襷を掛ける。行列は「無形文化財鹿子原虫送り踊保存会」の旗もち1名を先頭に、害虫の霊とされる乗馬姿の藁人形が続き、他に音頭2〜3名、笛1名、鉦1名が加わる。
 この踊りは、農民の素朴な願いや慣わしを受け継ぎながら、第二次大戦下でも休むことなく集落ぐるみで今日まで舞い続けてきたのが鹿子原の虫送りである。今なお古形を残す全国でも希少な祭であり、昭和42年島根県無形文化財に指定され、国内はもとより海外からの要請もあり、民俗芸能を通じた文化の場としても保存会の存在意義は大きくなっている。
 平成3年アメリカのニューヨークで開催された「島根文化祭」で踊りの披露を行ったのを皮切りに、全国規模での活動を実施しているほか、全国高等学校総合文化祭に参加する県立矢上高校の生徒に約半年間継続的指導を行うなど、後継者の育成も熱心に行っている。
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