第33回 伝統文化ポーラ賞 奨励賞

平成25年7月撮影
耐火石膏の外型に線刻を施した箇所に、色ガラスの粉を 水で溶いたものを、筆で詰めている所。

  • 石田 知史(いしだ さとし)
  • 昭和47年生まれ
  • 京都府
鋳込みガラスの制作・伝承
石田知史さんは、ガラス工芸の中の「鋳込みガラス」の技法を生かしながら、現代的感覚にあふれた作品を制作している。
鋳込み(いこみ)ガラスは、鋳型に粉状のガラスを入れ、熱を加えて融着させて制作する技法である。古代メソポタミアで始められたとされるが、その後衰退し、19世紀末から20世紀初めころ、アール・ヌーボーの作家によって独特の柔らかな表現効果が見直され、盛んに用いられた。「パート・ド・ヴェール」という名称で広く知られている。
技法的には、イメージした原型を作り、それを耐火石膏で型取りする。次にその型に繊細な文様を施し、焼成後の色彩をイメージしながら、その文様やそれを覆うように色ガラスの粉をつめて窯で焼成する。冷却後に耐火石膏の型を壊して作品を取り出し、仕上げの手順を経て完成となる。その特徴は型を用い、粉状のガラスを窯の中で焼成することにあり、繊細な文様表現ができるとともに、より複雑な色彩を生み出すことができる。
この技術・技法で生み出される作品は、透光性がありつつ、その光を内包するような独特な光の屈折が見られるが、石田さんの作品には、この独特の素材感やそれから生まれる色彩表現を、自身が思い描く形と文様に融合させている。
平成10年日本伝統工芸展初入選以来、平成18年京都府文化賞奨励賞、同年日本伝統工芸展「日本工芸会総裁賞」等数多くの賞を受賞している。
近年では、茶の湯の造形にも積極的にチャレンジし、日本的な美の表現を追求している。今後ますますの活躍が期待されている。
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