第33回 伝統文化ポーラ賞 地域賞

平成25年7月16日自宅工房にて、ノミで硯を削る作業をしている所。

  • 名倉 鳳山(なぐら ほうざん)
  • 昭和28年生まれ
  • 愛知県
鳳来寺硯の制作・伝承
名倉鳳山さんは、昭和52年大学卒業後、鳳来寺硯制作の家業伝承に入り、父の四代名倉鳳山(正康)氏の指導のもとで技法を修学し、伝統を受け継ぎつつ硯を「墨の道具」にとどめず、日本人の美意識が造る「心の器」を目指し、独創的造形力の研鑽に努めてきた。
鳳来寺硯(ほうらいじすずり)は、鳳来寺山が開かれた今から1300年ほど前から作られていたとされ、江戸時代には鳳来寺参詣記念のための特産品として盛んに生産されていたようだ。近代に入り、社会状況の変化などによる幾度かの衰亡の危機にあいながらも、伝統と硯づくりのわざが受け継がれてきた。
鳳山さんの作る硯には、先人から受け継いだ手仕事の技と、自ら磨き抜いた芸術的手法を融合させた新しい硯は、工芸という分野の奥深さを今に伝えている。
平成15年50歳を節目に父の名を継ぎ鳳山を襲名。鳳来寺周辺から産出する金鳳石、鳳鳴石、煙蔵石という三種の石を活かした特産の硯作りを現代に伝える数少ない継承者である。硯工芸にあって千年の永い伝統があると言われる鳳来寺硯を題材に、機能の中に新鮮な形態の中にも大学で学んだ確かな造形力で硯工芸の新分野展開に多大な実績を挙げ、「硯」を芸術工芸の世界に引き上げることに貢献するなど、その作品、業績は高い評価を得ている。
昭和56年日本伝統工芸展入選以来数多くの賞を受賞し、平成15年には愛知県芸術文化選奨文化賞受賞、平成22年には新城市無形文化財保持者に指定された。
教育委員会、日本工芸会の役員を歴任し、平成21年から名古屋造形大学で後進の指導・育成に尽力すると共に、書の道具としての機能美と伝統美に、独自の立体造形感覚を盛り込んだ制作を行っている。
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