第34回 伝統文化ポーラ賞 地域賞

平成25年9月22日撮影。
新潟県伝統工芸品展にて、伝統的工芸品の展示、包丁研ぎの実演、包丁研ぎの体験を実施した際の様子

  • 越後三条鍛冶集団
    (えちごさんじょうかじしゅうだん)
  • 平成20年設立
  • 新潟県
三条打刃物の伝承・振興
「金物のまち三条」といわれる新潟県三条市で、地元の27の事業所の鍛冶職人を中心に「越後三条鍛冶集団」が結成されたのは平成20年のこと。昭和のバブル期以降の大量生産による安価な商品づくりにはない、優れた質のよい「三条打刃物」の技術を見直して欲しいという考えからだった。口伝や勘だけではない技術の向上と、販路の開拓を目指して活動しており、その技術から生み出される製品群の「三条打刃物」ブランドは、平成21年4月に経済産業大臣から伝統的工芸品の指定を受けている。
三条打刃物の歴史は古く、弥生時代の遺跡から鉄斧が出土しており、すでに肥沃な新潟平野で行われていた農業用の農機具の需要から始まったとされる。江戸時代の明暦年間には、領主の命により18軒の鍛冶屋が集まった鍛冶町もつくられた。さらに新田開発に伴う鎌や鍬などの需要も増え、「三条打刃物10品目」として鑿や鉋、木鋏、鉈や包丁、切出小刀といった建築や林業などの産業や生活用具に即した金物や刃物も作られるようになった。
三条打刃物の特徴は、自由鍛造技術を駆使した手造りで、分業ではなく完成まで一人の職人が作り上げるものづくりにある。製品を作るために必要な「ヤットコ」などの道具類までも作るという、創意工夫の技術が蓄えられている。また、農家の副業として派生した「和釘」も伊勢神宮の式年遷宮に納入されるなど、その鍛冶技術の高さが証明されている。
この鍛冶集団の活動は、結成当初からの鍛冶体験講座をはじめ、平成17年に竣工した「三条鍛冶道場」を拠点に、一般を対象にした「切出小刀づくり」や「包丁づくり」を定期的に行い、三条市が行う「新規鍛冶人材育成事業」で研修生を育成するなど幅広く多岐にわたっている。また、市内の小・中・高校の体験授業の指導や、県外で開かれるイベントにも講師として積極的に参加。平成24年度には鍛冶研修生を3人受け入れ、伝統工芸士を4人輩出するなどの実績を挙げている。
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