第35回 伝統文化ポーラ賞 地域賞

欅の角材を轆轤挽きしている様子

  • 山中木地挽物技術保存会(やまなかきじひきものぎじゅつほぞんかい)
  • 平成5年設立
  • 石川県
山中木地挽物の伝承・振興
漆器生産の盛んな石川県では「木地の山中」と言うほど、「山中木地挽物」は旧山中町(現加賀市)の木地師たちが伝承してきた卓越した轆轤(ろくろ)技術で知られている。「挽物」とは轆轤で挽いて造った椀や鉢などを指し、主にケヤキやミズメ、トチなどの樹木を木地として、自然の木目を生かした独特の温かさを感じる作品が「山中木地挽物」ならではの特徴である。
起源は、天正年間(1573〜1592)ごろ、挽物職人の木地師が旧山中町上流の真砂村に 移住してきたことに始まる。 江戸時代中期には、現在の加賀市山中温泉地区に木地挽物の技術が伝わり、すでに「加飾挽き」と呼ぶ木地に細かい筋を入れる技術が創作された。その技術は、明治初期の轆轤の改良で飛躍的な発展を遂げてきた。
作業は、まずは木目が縦に入る「縦木取り」と、横に入る「横木取り」の方法を作品に応じて選択することから始まる。具体的な工程は、原木の切り出し・製材・木取り・荒挽き・ 乾燥・ならし・中荒挽き・乾燥・ならし・仕上げ挽き・加飾挽き・拭き漆などが挙げられる。
また、職人の腕の見せ所とされる木地の表面に鉋を当てて細かい模様を付ける「加飾挽き」は、数十種類以上もあり、模様ごとに使う鉋(かんな)は挽物職人自らが製作している。これらは他に類を見ない技法で、高く評価されている貴重なものである。
その芸術的・工芸史的価値と地方的特色の高さから、平成22年に石川県の無形文化財に指定された。また、平成5年に設立された保存会は、重要無形文化財「木工芸」保持者である川北良造氏を会長に、さまざまな活動を行っている。石川県立山中漆器産業技術センターで、若い研修生に積極的に技術指導を行い、会員の工房に弟子入りさせるなど、組織的な伝承者の養成もその一つである。当保存会が、地域に根ざした伝統工芸技術の伝承と後継者育成の事業に着実に成果を挙げ、さらなる発展が期待されることから、「地域賞」に選定された。
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