第35回 伝統文化ポーラ賞 地域賞

平成27年7月26日
公演前日、リハーサル

  • 冨田人形共遊団(とんだにんぎょうきょうゆうだん)
  • 明治7年設立
  • 滋賀県
冨田人形浄瑠璃の保存・伝承
「冨田人形共遊団(とんだにんぎょうきょうゆうだん)」は長浜市北富田の地で受け継がれてきた人形浄瑠璃「冨田人形」を踏襲し、伝統文化の伝承、発展をめざす団体である。
「冨田人形」の歴史は、天保6年(1835)頃にさかのぼる。阿波人形一座が帰国の途中、豪雪地帯である近江の北富田で停留。雪で興行ができずに旅費を得るために、人形や大道具一式を置いていった。その荷物を長い間引き取りにこなかったので、これを使って集落の農村歌舞伎を演じていた青年たちが稽古を始めたのが始まりとされる。その後、大阪から人形遣いや人形師が来村、人形座として発展させ、「吉田座」と称して近隣で公演活動を行うようになった。明治7年には滋賀県の興行許可を受けて独立、「冨田人形共遊団」として活動を始めた。
父子相承の形で5代以上にわたり伝えられるうちに「冨田のデコ芝居」として愛好され、昭和32年に滋賀県選択無形民俗文化財に指定された。その後、戦後の後継者不足により一時休止されたが、地域有志が支える伝統芸能へと変化し、昭和53年活動を再開。人形遣いの他に、太夫、三味線も養成し、要望に応えて全国で公演できるようになった。
平成3年に本格的な舞台や設備を備えた「冨田人形会館」を竣工。日常的な稽古の拠点ができ、さらに活動の幅が広がった。国内各地での公演や、11回を数える北米をはじめとする海外公演も積極的に行っている。
また会館竣工の年から、米国のミシガン州立大学連合日本センターの留学生を受け入れ、人形浄瑠璃の伝授を行う国際交流事業の「冨田人形サマープログラム」を開講。これまでに約300名の留学生が参加し、日本文化への理解を深めている。
「冨田人形共遊団」の活動は、伝統文化の継承にとどまらず、地域と次世代への人形浄瑠璃の普及、海外発信、国際交流など多岐にわたり、先進的な試みを進めている。今後のさらなる活躍に期待して、地域賞を贈ることとなった。
close