第36回 伝統文化ポーラ賞 優秀賞

「箏道音楽院創立記念演奏会」での
宮城道雄作曲「水の変態」演奏の様子
平成28年5月22日東京証券会館ホール

  • 砂崎 知子(すなざき ともこ)
  • 昭和17年生まれ
  • 東京都
箏曲の演奏・振興
平成28年1月1日、現代を代表する箏曲家として評価される砂崎知子さんは自らが主宰し45年の歴史を持つ「箏志会」を母体とする「そうどう音楽院」を創立し、さらなる邦楽の未来へ向けての新しい活動に入った。その軽やかな行動力を裏付けるように、砂崎さんは宮城道雄作品から古典曲、現代邦楽、時にはクラシックと、和洋を問わず幅広いジャンルの箏演奏の可能性を切り拓いてきた。中でも昭和53年の「琴 ヴィヴァルディ『四季』」は、クラシックを十三弦箏を駆使した超絶技巧で演奏し、新たな箏演奏技法の可能性を示したと評価されている。また、牧野由多可など数多くの作曲家からの信頼を得て、優れた委嘱作品の創作への広がりも出てきた。
岡山市出身の砂崎さんは、6歳から宮城道雄の直弟子だった母の砂崎澄江に学び、宮城喜代子、宮城数江に師事し、東京藝術大学、大学院へと進む。昭和46年、同窓生らと結成した「箏三人会」で演奏活動をスタート。昭和49年に第1回のリサイタルを開始すると同時に、宮城合奏団、日本音楽集団などで、国内外で演奏活動を行ってきた。こうした活動で、昭和63年1月文化庁芸術祭賞(音楽部門)、平成12年1月大阪文化祭賞、平成23年3月文化庁芸術選奨文部科学大臣賞などを受賞している。
また、砂崎さんは、東京藝術大学講師、大阪音楽大学教授、洗足学園音楽大学邦楽科客員教授などの教師活動とともに、東京・大阪・岡山に拠点を置き、多数の門人を育成。自ら習得した高い技術を惜しみなく伝える指導で、数多くの若い演奏家を輩出。このほか、全国小中学校生箏曲コンクール、全国高校生邦楽コンクールの審査員も務め、若い邦楽の芽の発掘にも貢献してきた。
平成28年5月には、自身の作曲による創作作品をまとめたCD「砂崎知子作品集」を発売。「光の中で」「烏城」「富士讃歌」など、作曲家として彼女の多彩な演奏技法を活かした楽曲で、これまでも楽譜公刊されて幅広い演奏者に支持されてきた。
こうして、音楽家としての弛まぬ努力による卓越した実力と、後進に自ら確立した演奏りょうを惜しみなく伝承する教授活動が認められて、今回の優秀賞となった。
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