第36回 伝統文化ポーラ賞 奨励賞

地唄「珠取海女」で第50回なにわ芸術祭 新進舞踊家競演会新人賞受賞
サンケイホールブリーゼにて

  • 井上 安寿子(いのうえ やすこ)
  • 昭和63年生まれ
  • 京都府
京舞の伝承
京舞の中でも、井上流は品のある舞姿に加えて、能の型や人形浄瑠璃の振りを取り入れ編み出された、巧緻で上品な座敷舞の芸派。創始者の井上サト(1768〜1854)が、御所勤めで身につけた立ち居振る舞いや白拍子舞をベースに確立された流派という歴史を持つ。
井上安寿子さんは現在27歳。昭和63年、能楽師観世流九世かんてつじょうさんと、京舞の井上流五世家元の井上八千代さんの長女として京都に生まれた。2歳で稽古を始め、曾祖母で文化勲章受章者の四世と、母で人間国宝の五世に師事し、3歳で初舞台を踏む。
平成18年、弱冠17歳で井上流名取になるも斯界の名門の環境に甘んじることなく、その後も地道に修業と研鑚を積んできた。京都造形芸術大学舞台芸術学科に進んだのにも、「将来、舞台に立つ上で必要な裏方としての視点や技芸について学んでおきたい」という明確な目標があった。後に、井上さんは外から自身の家の流儀を見つめ直す有意義な時間だったと語っている。
平成23年の大学卒業後は、五世とともに都をどりや祇園のおさらいの会である温習会の活動に携わってきた。その五世から「若い人が若い人を教えるのは自分のためにもなるし、流儀の未来にもつながる」と言われ、後進の指導も行うようになった。平成27年に井上さんは学校法人八坂にょこう学園 舞踊科講師に就任した。
また、自身のリサイタルとして、平成25年に第1回の井上安寿子主催の舞踊公演「葉々ようようの会」を発足させ、来年で5回目を迎える。こうした活動で、平成25年4月 産経新聞社主催「新進舞踊家競演会」で新人賞受賞、平成27年度京都市芸術新人賞を受賞している。
長刀なぎなた八島やしま」「おみつ」など難易度の高い演目や、井上流の伝承大曲「信乃しのつぼみ八房やつふさ」は進境著しく、大器の片鱗を見せる舞台と評価されており、後進の指導にも携わるようになった活動の広がりを奨励する意味で、今回の受賞となった。
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