第36回 伝統文化ポーラ賞 地域賞

ロクロ成型で利鉢(としばち)を水引きしている様子
仕事場にて 平成28年春

  • 宗像 利浩(むなかた としひろ)
  • 昭和32年生まれ
  • 福島県
会津本郷焼の伝承・振興
今年、作陶40周年を迎える宗像利浩さん。東北地方最古の窯業地とされる福島県会津地方で作家活動を重ねてきた。会津の焼物は、若松鶴ヶ城の屋根瓦を地元の土で焼いたことに始まり、保科正之公が城主の頃には将軍家への献上用の茶器が完成されたという。
宗像さんは、平成17年に四百年を誇る伝統の会津本郷焼の宗像窯八代目当主となった。その創始者は福岡県の宗像大社から移住してきた布教師の宗像出雲守式部で、奈良時代(767年)に宗像神社を建立し、その傍らで生計のために焼物を始めたのが今日に引き継がれることになったという。
会津本郷焼の特色は、地元の的場土と飴釉、灰釉などを用いて作られる、生活に根ざした壺や皿などの骨太な器類と茶器。六代の頃には柳宗悦、浜田庄司らの賞賛を得ている。そのひとつが地元の郷土食を入れるにしんばちで、宗像窯の六代目が昭和33年にベルギーのブリュッセル万国博覧会でグランプリを受賞している。
宗像さんは昭和32年生まれ。会津本郷焼の伝統を継承し、父祖伝来の皿や鉢、壺などの伝統的な器づくりに携わる一方で、新しい会津本郷焼の姿を切り拓いてきた。
座右の銘は「そうの美」。それは表面を飾らずに内面を充実させるという意味だが、その言葉通りに平成9年第14回日本陶芸展「としばち」で準大賞。その作品は、機能性と釉薬の美しさで鑑賞品としても評価されている。そして平成10年日本伝統工芸展初入選(現在、日本工芸会正会員)、平成15年日本陶芸展文部科学大臣賞(以後、招待出品)、平成22年パリで個展、平成25年には東大寺に茶碗を奉納している。また、この間に平成23年の東日本大震災で歴史ある先祖代々の登り窯が崩壊する危機に見舞われたが、周囲の支援による「宗像窯登り窯再生プロジェクト」で修復されている。このほか、福島大学客員教授、会津大学短期大学部の講師として後進の指導にも力を入れ、地方の窯業地における伝統の継承、制作と振興に対する好例として、地域賞を受けることになった。
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