第37回 伝統文化ポーラ賞 地域賞

代々、芸を伝承している一家の6代目、
7代目、8代目が3世代にわたる初共演をした。演目は「奥州安達ヶ原(二段目)文治館の段」(平成29年4月)

  • 千葉之家花駒座(ちばのやはなこまざ)
  • 大正14年頃設立
  • 福島県
檜枝岐歌舞伎の保存・伝承
福島県南会津、尾瀬に入る玄関口に郷土芸能「ひのまた歌舞伎」で有名な、人口わずか600人弱の檜枝岐村がある。この歌舞伎は、江戸時代から270年以上伝わ る村民が演じる村民のための地芝居のひとつとされる。その歴史は、檜枝岐の村民がお伊勢参りの帰りに立ち寄った江戸で見聞きした歌舞伎芝居を、村に帰って見よう見まねで再現したのが始まり。それが親から子へと伝わり、やがて浄瑠璃本を江戸みやげにする者も現れて、いつしか舞台もつくり、自分たちで演じるまでになったという。
現在の舞台は、明治26年(1893年)に焼失した古い舞台を模して、明治30年前後に再建されたものと推定されている。鎮守神社殿の前に建てられた茅葺きの拝殿兼用の舞台があり、花道は上演するときに後付けで設営され、役者は神社本殿に向かって芸を奉納する形になる。この舞台は昭和51年に国指定重要有形民俗文化財に指定されている貴重な建造物で、平成16年に国立劇場で公演が行われたときは、そっくりな舞台装置を組んで上演されたという自慢の舞台だ。
檜枝岐歌舞伎を運営する「千葉之家花駒座」の一座は大正末期に発足しており、現在は村の幼児から70代まで男女合わせて30人ほどの座員が、役者兼裏方として毎年の舞台に取り組んでいる。奉納歌舞伎が行われるのは、5月12日の愛宕神祭礼と8月18日の鎮守神祭礼の2回。このほか観光客を対象に公演が9月の第一土曜日に行われている。
その外題は 『ほんたいこう』 『いちたにふたばぐん』など11の演目のレパートリーがあり、中には昭和8年に地元民によって脚本が書かれた、オリジナルの 『みなみやまみんいしぶみ』なども入っている。こうした活動が評価され、平成11年には檜枝岐歌舞伎は福島県重要無形民俗文化財に認定された。この檜枝岐村の村民たちで力を合わせ、長年にわたり保存・伝承してきた地方色豊かで貴重な無形文化遺産として今回の受賞となった。
close