第38回 伝統文化ポーラ賞 優秀賞

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「「本朝廿四孝」 十種香の段
役名:八重垣姫(平成29年1月、国立文楽劇場公演)(撮影:小川知子)

  • 三世 桐竹 勘十郎(きりたけ かんじゅうろう)
  • 昭和28年生まれ
  • 大阪府
人形浄瑠璃文楽人形の伝承・振興

「指の記憶を脳の引き出しの中に沢山ストックしておけば、人形を遣っているときに、それまで動かなかった何かが脳とつながって、ひょいと動き出すのではないか」と、著書『一日一字学べば、、、』の中で50年を越えた人形遣いの妙味を語る桐竹勘十郎さん。昭和28年生まれの65歳。「人形遣いは60代からが勝負」と言われるなかで、まさに立役、女方、三枚目と幅広い役柄を遣える第一人者とされる。

二世桐竹勘十郎を父に持ち、その紹介で三世吉田簑助に師事したのは14歳の時。吉田簑太郎として昭和43年に文楽協会技芸員となり、『壇浦兜軍記』の水奴という端役で初舞台。ご存知のように、文楽は首、左手、足と3人で演じるもので、足遣い10年、左遣い10年、首と右手を動かす主遣いは一生の修業が必要と言われる世界。簑助師匠の元で、来る日も来る日も足遣いを務めてきた。その時に師匠から気づかされたのが、いくら自分が上手な足遣いをしても、役に寄り添う足でなくては仕方がないということ。以来、見て、慣れて覚えて「神経を一本でも芝居とつないでおけば、どこからでも得るものがあるはず」と、人形遣い一筋に歩んできた。

平成15年、歌舞伎とは違って世襲ではない文楽界で、三世桐竹勘十郎として亡父の名跡を継ぐことになった。50歳を迎えていた簑太郎に、「継ぐなら今やで」と後押しした簑助師匠のはからいがあったという。
 『本朝廿四孝』の八重垣姫のような動きも激しい古典物から、復活狂言や新作物までの役柄を軽々と演じ分ける稀有な存在。近年は、NHK子供番組「にほんごであそぼ」にレギュラー出演や、生まれた地元の大阪の小学校で実技講師をするなど、未来の文楽への働きかけにも努力している。

平成20年には芸術選奨文部科学大臣賞、紫綬褒章を受章。平成22年に日本藝術院賞(第66回)、同24年には国立劇場文楽賞文楽大賞を受賞。(一社)人形浄瑠璃文楽座理事、京都文教大学客員教授も務める。こうした幅広い活動の中で、的確に人形を拵えて舞台を務め、文楽ファンを魅了していることから、今回の受賞となった。

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