第38回 伝統文化ポーラ賞 地域賞

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中尾くんち山神社にて獅子踊り奉納
(平成27年9月15日)

  • 中尾獅子浮立と唐子踊保存会(なかおししふりゅうとからこおどりほぞんかい)
  • 平成23年設立
  • 長崎県
獅子浮立と唐子踊の保存・伝承

リズムを刻む太鼓に哀愁を帯びた笛の音、鉦のカーンという音とシャギリ(お囃子)が盛り上げるなかで、アクロバティックな動きで観客を沸かせる獅子舞。かつて海外貿易の玄関口として栄えた長崎には、祭礼の中に異国情緒あふれる民俗芸能が息づいている。

そのひとつ中尾獅子浮立は長崎市の東長崎中尾地区に伝わる民俗芸能。その歴史は太鼓の内部に残る明和3年(1766)の墨書きなどの年号から、250年以上にわたって受け継がれてきたことがわかる。また唐子踊も明治中頃から「長崎くんち」の西浜町奉納踊から伝承されて神事に奉納されてきた古い芸能の踊りで、一時戦争で途絶えていたが、獅子浮立とあわせてひとつの芸能として統合された。

 いわば二つの芸能が独自の形式に仕立てられたもので、シャギリの笛・太鼓・鉦から始まり、立道具・笠踊・ササラ・唐子踊・仔獅子・月の輪・親獅子の順番に登場して上演される。会員は約50名で構成され、中尾にあり通称“山ン神様”の大山神社の9月15日の祭りや、長崎市の矢上神社の10月17日の祭礼に、4年1巡の輪番制として奉納されている。

 芸能の中心は、牡丹の花に戯れる獅子の親子の躍動感あふれる踊りだが、小学校1年生以下の男女約20人の子どもたちで踊る唐子踊も、獅子たちを鈴で導いたり、玉使い同士で身体を支え合いながら回転するなどの見せ場もあり、子どもから大人まで年齢層の厚い民俗芸能となっている。

こうした点が評価され、昭和43年に長崎市の市指定無形民俗文化財に認定。また、昭和37年には中尾獅子浮立と唐子踊保存会が保持する長崎諏訪神社くんち奉納のシャギリが、長崎県指定無形民俗文化財に指定されている。また、これまでに昭和59年長崎県教育委員会表彰・昭和62年長崎市教育委員会表彰・平成5年県民表彰・平成22年(財)伝統文化活性化国民協会の地域伝統文化功労者表彰など数々の受賞をしている。

音曲と舞踊それぞれの芸能に師匠がいるほど日頃から熱心に後継者育成に取り組み、地域住民が一体となって活動している。今後も保存・継承に積極的に取り組み、長崎の郷土芸能の振興に貢献する存在として今回の受賞となった。

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