第39回 伝統文化ポーラ賞 地域賞

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一般社団法人義太夫協会主催「女流義太夫演奏会」にて講演
(平成26年4月23日 国立劇場演芸場)
(撮影:福田知弘)

  • 水野 悠子(みずの ゆうこ)
  • 昭和21年生まれ
  • 東京都
女流義太夫の研究・振興

「女性が語る義太夫は、身近な“おふくろの味”のようなもの」と、平成10年に初めて出版した著書『知られざる芸能史 娘義太夫』(中公新書)で、その味わい深さを記しているのが女流義太夫研究家として活躍している水野悠子さん。この芸能は、娘義太夫や略して「女義(じょぎ)」ともよばれ、200年以上もの歴史を持つ。明治時代には、現在のようにアイドルを盛り立てるファンクラブ「堂摺連(どうするれん)」もできたという。時代とともに人気は低迷してきたが、今でも女性たちだけで演じる素浄瑠璃であり、伝統芸能のひとつである。

昭和44年に東京外国語大学スペイン科を卒業した水野さんは、それまで学んできた外国語や西洋文化の知識の一方で、自国の文化を何も知らないことに愕然とする。その後は、落語、講談など寄席演芸関係の仕事を経て、昭和48年に社団法人義太夫協会(現・一般社団法人)に事務局員として入社。そこで平成5年まで20年間にわたり、会報の発行、例会運営や出演交渉、義太夫教室の運営など精力的に活動してきた。女流義太夫を舞台裏で支え、故・豊澤仙廣(重要無形文化財「義太夫節」保存会長)らの信頼も篤く、協会に所属する太夫たちの相談に親身に応じるなどの人柄が、彼女の女流義太夫研究家としての基盤となった。こうした活動により、平成5年には義太夫協会から豊澤仙廣賞を受賞している。

平成12年に『演芸資料選書・7 娘義太夫−人名録とその寄席−』(日本芸術文化振興会)を上梓。平成15年には、歴史学や女性史などの研究者から評価される『江戸東京 娘義太夫の歴史』(法政大学出版局)を出版。平成11年の国立劇場清栄会奨励賞受賞、平成27年の文化庁長官表彰という実績にもつながっている。

平成14年には藝能学会常任理事となり、現在も女流義太夫公演の解説や講演、著作活動、時代考証など多方面で活躍しており、こうした斯界への献身的な活動、記録を続けてきた功績を評価して今回の受賞となった。

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