第39回 伝統文化ポーラ賞 地域賞

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横仙こども歌舞伎教室「管原伝授手習鑑𠮷田社車曳の段」(平成30年11月24日、横仙歌舞伎大公演)

  • 横仙歌舞伎保存会(よこぜんかぶきほぞんかい)
  • 平成41年設立
  • 岡山県
横仙歌舞伎の保存・伝承

横仙歌舞伎(よこせんかぶき)の故郷である奈義町とは、岡山県北東部に位置する人口6,000人にも満たない小さな町。地理的には鳥取県に隣接し、那岐山の麓に位置することから、名前の由来にもなる横仙(山の横)歌舞伎の名称がついたという。

現在の保存会が結成されたのは昭和41年だが、その歴史は江戸時代まで遡る。山陽道を通って、出雲や播州(兵庫県)の芝居役者たちが流行していた歌舞伎芝居をかけに訪れるようになり、地元民たちの娯楽のひとつとなっていた。いつしか役者の芝居を見るだけではあきたらず、自分たちで演じてみようと始まったのが「地下芝居(じげしばい)」と呼ばれる横仙歌舞伎だ。

横仙歌舞伎の人気は江戸から昭和の初期にかけて続き、付近の神社の境内には歌舞伎専用の舞台が建てられ、芝居を見にくる人々が集う社交場として賑わったという。しかし、昭和30年代の高度経済成長期には都会へ出て行く若者も増えて人口も減少し、テレビや映画などの新しい娯楽に人気を奪われて衰退していく。

それを残念に思い立ち上がったのが故・高森源一さんで、昭和41年に彼が岡山県重要無形民俗文化財保持者に指定されたことをきっかけに、保存会が発足。私財を投じて舞台衣装やかつら、道具を買い揃えて保存会を育てた。昭和51年には保存会自体が岡山県重要無形民俗文化財に指定され、奈義町も横仙歌舞伎の活動に支援を広げてきた。

現在、保存会は年間4回の定期公演や県内外での出張公演をこなしている。また、小学校3年生の総合学習として歌舞伎指導を行うほか、町内の小学校から高校までを対象にこども歌舞伎教室を開き、後継者養成に取り組んでいる。これに対して奈義町は、町職員として後継者育成と普及活動を担う歌舞伎専門職員を採用するなど、他の地域にはない取り組みを行っている。

なかでも奈義町のこどもたちが演じる横仙歌舞伎のこども歌舞伎は、平成21年に岡山県内の小学生で文化やスポーツなどで活躍する団体を讃える山陽新聞桃太郎賞(こども歌舞伎部門)を受賞している。こうした地域に根差した伝統芸能の取り組みが評価されて、今回の受賞となった。

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