web版 機関誌
- 「伝統と文化」43号のご紹介
- 2020年1月17日発行
- 【本誌43号のお申込み】
-
本誌をご覧になりたい方は、下記の必要事項をご記入の上、メールでお申込みください。(お一人様一冊限り)
- お申込みメールアドレス:info@polaculture.or.jp
- ① 件名:「機関誌43号申込み」
- ② 記入事項:
- ・ 送付先郵便番号
- ・ 送付先住所
- ・ お名前
- ・ お電話番号
※機関誌をお申込みいただきました際の個人情報は、機関誌の発送、本件に関するお問合せ、当財団からの催し物のご案内のみに使用いたします。
※web版機関誌「伝統と文化」では、本誌の内容を抜粋してご紹介します。
40周年を迎えて
公益財団法人 ポーラ伝統文化振興財団
理事長 小西 尚子
ポーラ伝統文化振興財団は、日本の伝統文化を通じて「豊かな社会と文化の向上」に寄与することを目的に、ポーラ・オルビスグループの支援により1979年に設立され、今年で40周年となります。
これもひとえに、日頃より弊財団の活動にご理解、ご支援をいただいております皆様方のお力添えの賜物と、衷心より厚く御礼申し上げます。
弊財団では、伝統工芸、伝統芸能、民俗芸能という日本の貴重な無形の伝統文化の保存・継承・振興を目的とし、顕彰事業、助成事業、保存記録作成事業を柱に、40年に亘り活動を続けてまいりました。
この設立40年という節目を契機として、豊かな社会における文化芸術の果たす役割を改めて見つめ直し、今後も日本の伝統文化のさらなる振興に寄与してまいる所存です。
これもひとえに、日頃より弊財団の活動にご理解、ご支援をいただいております皆様方のお力添えの賜物と、衷心より厚く御礼申し上げます。
弊財団では、伝統工芸、伝統芸能、民俗芸能という日本の貴重な無形の伝統文化の保存・継承・振興を目的とし、顕彰事業、助成事業、保存記録作成事業を柱に、40年に亘り活動を続けてまいりました。
この設立40年という節目を契機として、豊かな社会における文化芸術の果たす役割を改めて見つめ直し、今後も日本の伝統文化のさらなる振興に寄与してまいる所存です。
理事長 小西 尚子
【特集】神楽の愉しみ
元号も令和へと移り、東京オリンピック・パラリンピックも開催となる2020年。
訪れるお客様に、日本の歴史や文化を「おもてなしの心」で発信する機会も増えてきます。
今号の特集は、日本の民俗芸能の代表「神楽」。
「神をもてなす」ところから始まったとされる神楽には、民俗芸能としての面白さはもちろん、人と人の心をつなぎ、新たな力へと変える愉しさがあります。
そんな神楽の愉しさを、民俗芸能がご専門の川﨑瑞穂先生に、ナビゲートしていただきます。
訪れるお客様に、日本の歴史や文化を「おもてなしの心」で発信する機会も増えてきます。
今号の特集は、日本の民俗芸能の代表「神楽」。
「神をもてなす」ところから始まったとされる神楽には、民俗芸能としての面白さはもちろん、人と人の心をつなぎ、新たな力へと変える愉しさがあります。
そんな神楽の愉しさを、民俗芸能がご専門の川﨑瑞穂先生に、ナビゲートしていただきます。
神事と饗宴の芸能―カミと人との交歓―
神楽は神を迎える座(場所)
民俗芸能の代表的なジャンルの一つが「神楽」です。
「神楽」の語源には、神を迎える座(場所)という意味があります。
神を「座」にお迎えし、歌舞を奉納し、カミと人々が交歓するのが「神楽」の目的です。
その始まりは、日本神話の中で、岩戸に隠れた太陽神の天照大神を戸外に導くために、芸能の女神の天鈿女命が披露した舞であると伝えられています。
「神楽」の語源には、神を迎える座(場所)という意味があります。
神を「座」にお迎えし、歌舞を奉納し、カミと人々が交歓するのが「神楽」の目的です。
その始まりは、日本神話の中で、岩戸に隠れた太陽神の天照大神を戸外に導くために、芸能の女神の天鈿女命が披露した舞であると伝えられています。
版画「岩戸神楽之起顯」(中央部浮世絵は個人蔵)
御神楽と里神楽
1000年以上前から宮中で伝えられてきた「御神楽」。
他方、民間でも「里神楽」と呼ばれる神楽が行われるようになりました。神を降ろす儀礼から歌舞を伴う芸能へと発展したこの里神楽は、現在でもなお、各地に多種多様な形で伝わります。多くの神社仏閣で、一般の人々も楽しむことができます。大きな釜でお湯を沸かしカミを降ろす「湯立神楽」や、多彩な持ち物で舞う「採物神楽」、獅子という霊獣が登場する「獅子神楽」など、様々な種類の神楽があります。
他方、民間でも「里神楽」と呼ばれる神楽が行われるようになりました。神を降ろす儀礼から歌舞を伴う芸能へと発展したこの里神楽は、現在でもなお、各地に多種多様な形で伝わります。多くの神社仏閣で、一般の人々も楽しむことができます。大きな釜でお湯を沸かしカミを降ろす「湯立神楽」や、多彩な持ち物で舞う「採物神楽」、獅子という霊獣が登場する「獅子神楽」など、様々な種類の神楽があります。
高千穂の夜神楽
カミと出会う 高千穂の夜神楽(宮崎県)
神話の故郷ともいわれる宮崎県西臼杵郡高千穂町。
高千穂の夜神楽は、一説には平安時代から伝わるとされ、神社での神事「神迎え」の後、神輿でご神体を民家などの「神楽宿」に移す「道行」を経て、合計33の演目を奉納していきます。
高千穂神社では神楽三十三番の中でも、代表的な「手力雄の舞」「鈿女の舞」「戸取の舞」「御神体の舞」を、ほぼ毎日見学することができます。 問い合わせ先
TEL 0982-73-1213
(一社)高千穂町観光協会
高千穂の夜神楽は、一説には平安時代から伝わるとされ、神社での神事「神迎え」の後、神輿でご神体を民家などの「神楽宿」に移す「道行」を経て、合計33の演目を奉納していきます。
高千穂神社では神楽三十三番の中でも、代表的な「手力雄の舞」「鈿女の舞」「戸取の舞」「御神体の舞」を、ほぼ毎日見学することができます。 問い合わせ先
TEL 0982-73-1213
(一社)高千穂町観光協会
天岩戸の扉を開ける、手力雄命(たぢからおのみこと)
石見神楽
物語を味わう 石見神楽(島根県)
島根県西部の石見地方に伝承される民俗芸能。「大蛇」など、日本神話を題材にした演目を、華やかな衣装と面をつけて演じる有福神楽のように、秋祭りに際して奉納されることが多く、約130もの団体(社中や保存会)が伝承に努めています。
京都の祇園祭での奉納や海外公演など、地域を越えた活動にも積極的に取り組んでいます。
京都の祇園祭での奉納や海外公演など、地域を越えた活動にも積極的に取り組んでいます。
大蛇に挑む須佐之男命。
社中により大蛇の仕様が違い、最近は眼がLEDで光るものも多くなっている。
また大蛇の餌食になる新たな娘の犠牲者が。大蛇に怯える櫛名田比売(くしなだひめ)と、足名椎命(あしなづちのみこと) ・手名椎命(てなづちのみこと)の夫婦。
問い合わせ先
石見観光振興協議会
雄勝法印神楽
命を見つめる 雄勝法印神楽(宮城県)
宮城県石巻市雄勝町に600年あまり前から伝わる民俗芸能。
「法印」と呼ばれる、民間で活動した宗教者(里修験)が伝えてきた神楽で、「浜」(地区)の祭礼には欠かせない芸能です。
震災の翌年には活動を再開し、2015年には演目を通して奉納するまでに復興。
橋を架けるコミカルな演目「橋引」から、舞台の天井に立つアクロバティックな演目「産屋」まで、硬軟織り交ぜたバラエティー豊かな演目構成も人気です。 問い合わせ先
雄勝法印神楽保存会
「法印」と呼ばれる、民間で活動した宗教者(里修験)が伝えてきた神楽で、「浜」(地区)の祭礼には欠かせない芸能です。
震災の翌年には活動を再開し、2015年には演目を通して奉納するまでに復興。
橋を架けるコミカルな演目「橋引」から、舞台の天井に立つアクロバティックな演目「産屋」まで、硬軟織り交ぜたバラエティー豊かな演目構成も人気です。 問い合わせ先
雄勝法印神楽保存会
演目「産屋」で豊玉姫に抱かれて登場するのは、震災を知らない氏子の赤ちゃん。
駒嶽神社太々神楽
異界を現す 駒嶽神社太々神楽(長野県)
長野県木曽郡上松町の駒嶽神社の里宮で行われる神楽。
地域の「神楽司」という特定の家が代々受け継いできた芸能で、毎年5月に奉納されます。
「湯立」からはじまる全13座の演目のうち、鼻高面をつけた天狗と呼ばれる4人の演者が跳躍を繰り返す演目「四神五返拝」は見どころのひとつです。 問い合わせ先
上松町観光協会
地域の「神楽司」という特定の家が代々受け継いできた芸能で、毎年5月に奉納されます。
「湯立」からはじまる全13座の演目のうち、鼻高面をつけた天狗と呼ばれる4人の演者が跳躍を繰り返す演目「四神五返拝」は見どころのひとつです。 問い合わせ先
上松町観光協会
4人の天狗たちが跳躍する、人気の演目「四神五返拝」
備中神楽
心象風景をつなぐ 備中神楽(岡山県)
岡山県の備中地方に伝わる民俗芸能。
荒神や祖先に奉納される儀礼(神事舞)と、記紀神話に由来する芸能(神能・神代神楽)の両面を持つ神楽です。
「白蓋神事」などの儀礼的な演目が特徴の荒神神楽は、一般には7年あるいは13年に一度行われることから「式年神楽」と呼ばれ、毎年神社で行われる「宮神楽」と区別されます。
夜通し12時間も続けられる神楽は、地元住民の楽しみの一つとなっています。 問い合わせ先
井原市観光協会
荒神や祖先に奉納される儀礼(神事舞)と、記紀神話に由来する芸能(神能・神代神楽)の両面を持つ神楽です。
「白蓋神事」などの儀礼的な演目が特徴の荒神神楽は、一般には7年あるいは13年に一度行われることから「式年神楽」と呼ばれ、毎年神社で行われる「宮神楽」と区別されます。
夜通し12時間も続けられる神楽は、地元住民の楽しみの一つとなっています。 問い合わせ先
井原市観光協会
「国譲りの能」の鬼退治の場面。
武甕槌命(たけみかづちのみこと)を演じる宮原和輝さん(左)と建御名方命(たけみなかたのみこと)を演じる山木光太郎さん(右)
神楽のこれから
俵木 悟
宗教者によって伝承されてきた神楽ですが、近代に入ると庶民による「楽しむ、楽しませる」神楽も生まれてきました。
山伏など修験道系の影響の強い南部神楽や、神職が伝えてきた石見神楽は、明治時代以降は娯楽色の強い神話劇が主流となり、今も人々を魅了しています。
最近は若者文化としても注目され、毎年夏に開催される「高校生の神楽甲子園」など、
山伏など修験道系の影響の強い南部神楽や、神職が伝えてきた石見神楽は、明治時代以降は娯楽色の強い神話劇が主流となり、今も人々を魅了しています。
最近は若者文化としても注目され、毎年夏に開催される「高校生の神楽甲子園」など、
「神楽の変遷と現代における展開について」講演する筆者(2018年「里神楽ワークショップ in 成城大学」より)
部活動やサークルが集結して成果を競っています。
こうした活動を題材にしたマンガやテレビドラマが制作されるなど、クロスメディアの展開も注目されています。
また、女性の神楽師が珍しくなくなるなど、「ボーダーレス」な動きも出ています
こうした活動を題材にしたマンガやテレビドラマが制作されるなど、クロスメディアの展開も注目されています。
また、女性の神楽師が珍しくなくなるなど、「ボーダーレス」な動きも出ています
俵木 悟 Satoru Hyoki
俵木 悟さん
1972年千葉県生まれ。
1999年千葉大学大学院社会文化科学研究科博士課程修了。
「備中神楽の現代的位相に関する研究」で博士(学術)。
2002年東京文化財研究所研究員。
2011年成城大学文芸学部文化史学科准教授。
2018年より同大学教授。専門は民俗学・文化人類学、特に芸能伝承、無形文化遺産保護制度の研究。
主な著書に、『文化財/文化遺産としての民俗芸能 無形文化遺産時代の研究と保護』(俵木悟著、勉誠出版、2018年)、『民俗学事典』(共編著、丸善出版、2014年)、『民俗小事典 神事と芸能』(共編著、吉川弘文館、2010年)、『日本の民俗9 祭りの快楽』(共著、吉川弘文館、2009年)など。
1999年千葉大学大学院社会文化科学研究科博士課程修了。
「備中神楽の現代的位相に関する研究」で博士(学術)。
2002年東京文化財研究所研究員。
2011年成城大学文芸学部文化史学科准教授。
2018年より同大学教授。専門は民俗学・文化人類学、特に芸能伝承、無形文化遺産保護制度の研究。
主な著書に、『文化財/文化遺産としての民俗芸能 無形文化遺産時代の研究と保護』(俵木悟著、勉誠出版、2018年)、『民俗学事典』(共編著、丸善出版、2014年)、『民俗小事典 神事と芸能』(共編著、吉川弘文館、2010年)、『日本の民俗9 祭りの快楽』(共著、吉川弘文館、2009年)など。
川﨑 瑞穂 Mizuho Kawasaki
川﨑 瑞穂さん
日本学術振興会特別研究員(神戸大学)。
聖心女子大学・帝京大学・東京電機大学・
西武文理大学非常勤講師。
川崎市文化財調査員。
日本民俗音楽学会理事。
民俗芸能学会評議員。
国立音楽大学大学院博士後期課程修了、博士(音楽学)。
ソルボンヌ大学(パリ第4大学)留学。
2012年日本ジラール協会
「ライムンド・シュヴァーガー記念論文賞」受賞。
2013年遠野文化研究センター「佐々木喜善賞」受賞。
2015年日本風俗史学会 「日本風俗史学会研究奨励賞」受賞。
2016年日本科学協会 「笹川科学研究奨励賞」受賞。
2017年川崎市・川崎市教育委員会・川崎市文化協会 「川崎市文化祭奨励賞」受賞。
2018年日本民俗音楽学会「第1回小島美子・藤井知昭記念日本民俗音楽学会賞」受賞。 主著『徳丸流神楽の成立と展開―民族音楽学的芸能史研究―』(第一書房 2018年)
聖心女子大学・帝京大学・東京電機大学・
西武文理大学非常勤講師。
川崎市文化財調査員。
日本民俗音楽学会理事。
民俗芸能学会評議員。
国立音楽大学大学院博士後期課程修了、博士(音楽学)。
ソルボンヌ大学(パリ第4大学)留学。
2012年日本ジラール協会
「ライムンド・シュヴァーガー記念論文賞」受賞。
2013年遠野文化研究センター「佐々木喜善賞」受賞。
2015年日本風俗史学会 「日本風俗史学会研究奨励賞」受賞。
2016年日本科学協会 「笹川科学研究奨励賞」受賞。
2017年川崎市・川崎市教育委員会・川崎市文化協会 「川崎市文化祭奨励賞」受賞。
2018年日本民俗音楽学会「第1回小島美子・藤井知昭記念日本民俗音楽学会賞」受賞。 主著『徳丸流神楽の成立と展開―民族音楽学的芸能史研究―』(第一書房 2018年)
TAKUMIの学び場 VOL.4
日本の伝統文化を次世代へとつなぐために、編集部が技術や理論などを学べるさまざまな機関を取材し、その概要や特色をご紹介していきます。
「へんみ櫛店」「梓川工房」主宰 逸見 英隆さん 先人の技術を残して創る、伝承のお六櫛
木々に囲まれた長野県松本市にある工房で、逸見英隆さん(36)は「お六櫛※」の若手櫛職人として活動しています。
お六櫛はカバノキ科の堅い木を使い、細い歯を手作業で挽いてつくる江戸時代からの歴史を持つ木櫛のひとつ。
彼は2009年に木工の専門校に在校中に、お六櫛をつくる手挽きを体験し、
お六櫛はカバノキ科の堅い木を使い、細い歯を手作業で挽いてつくる江戸時代からの歴史を持つ木櫛のひとつ。
彼は2009年に木工の専門校に在校中に、お六櫛をつくる手挽きを体験し、
お六櫛制作実演風景
日本古来の道具や技術に触れたことが、この道に入るキッカケとなりました。
そこから6年間、師と仰ぐ北川聰さん(木祖村お六櫛組合相談役)や職人の先輩方に技術などを学び、櫛職人の後継者として期待されるまでになりました。お六櫛:木曽の旅籠の娘「お六」は、持病の頭痛を治したい一心で御嶽山に詣で願をかけた。ある日夢のお告げに従い、ミネバリの木で作った櫛を使い、髪を梳くと頭痛が全快した。
そこで同じような病で苦しむ人のためにと、櫛を売り始めた。
それが評判となり、木曽路・薮原宿の名産「お六櫛」として全国的に知られるようになった。
そこから6年間、師と仰ぐ北川聰さん(木祖村お六櫛組合相談役)や職人の先輩方に技術などを学び、櫛職人の後継者として期待されるまでになりました。お六櫛:木曽の旅籠の娘「お六」は、持病の頭痛を治したい一心で御嶽山に詣で願をかけた。ある日夢のお告げに従い、ミネバリの木で作った櫛を使い、髪を梳くと頭痛が全快した。
そこで同じような病で苦しむ人のためにと、櫛を売り始めた。
それが評判となり、木曽路・薮原宿の名産「お六櫛」として全国的に知られるようになった。

へんみ櫛店
所在地 | 〒390-1701 長野県松本市梓川倭1589-1 |
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定休日 | 不定休 |
伝えたい 美・ひと VOL.9
伝統文化ポーラ賞を受賞された方々の受賞後の活動についてご紹介します。
静謐なガラスの空間に
永遠の時を刻む截金を
浮遊させて
山本茜さんは「截金※を主役にした大胆な芸術表現をしたかったのです」と、截金ガラス誕生のいきさつを語ります。
ガラスの中に截金を浮遊させることで、その色と輝きが永遠のものとなります。
2010年からライフワークとして取り組んできたのが、海外でも広く翻訳されている『源氏物語』を題材にした作品。
ガラスの中に截金を浮遊させることで、その色と輝きが永遠のものとなります。
2010年からライフワークとして取り組んできたのが、海外でも広く翻訳されている『源氏物語』を題材にした作品。
源氏物語シリーズ第三帖「空蟬」
2019年
54帖のうち写真の「空蟬」など21帖を作品に仕上げています。
毎年、英国で開かれる展示会では、山本さんの作品は大きな注目を浴び、2019年は大英博物館に所蔵されることになりました。「截金ガラスは、伝統的な技法と科学技術の両方があって可能になる」という言葉が印象に残りました。 截金
金箔などの金属箔を細く裁断し、それを用いて文様を描き出す装飾技法。
6世紀に仏教伝来とともに大陸より伝えられ、主に仏像や仏画の装飾に用いられてきた。
毎年、英国で開かれる展示会では、山本さんの作品は大きな注目を浴び、2019年は大英博物館に所蔵されることになりました。「截金ガラスは、伝統的な技法と科学技術の両方があって可能になる」という言葉が印象に残りました。 截金
金箔などの金属箔を細く裁断し、それを用いて文様を描き出す装飾技法。
6世紀に仏教伝来とともに大陸より伝えられ、主に仏像や仏画の装飾に用いられてきた。
山本 茜さん
截金ガラス作家
山本 茜
1977年石川県金沢市生まれ。
1999年独学で截金を始め、2000年に重要無形文化財「截金」保持者の江里佐代子氏より伝統的截金技法を教わる。
2001年京都市立芸術大学美術学部美術科日本画専攻卒業。
2011年富山ガラス造形研究所造形科卒業。
京都市に個人工房設立。
2014年第61回日本伝統工芸展NHK会長賞受賞。
2015年伝統文化ポーラ賞奨励賞受賞。
2016年京都府文化賞奨励賞受賞。
2019年作品「Leaf Boat」大英博物館買い上げ。
日本工芸会正会員。
1999年独学で截金を始め、2000年に重要無形文化財「截金」保持者の江里佐代子氏より伝統的截金技法を教わる。
2001年京都市立芸術大学美術学部美術科日本画専攻卒業。
2011年富山ガラス造形研究所造形科卒業。
京都市に個人工房設立。
2014年第61回日本伝統工芸展NHK会長賞受賞。
2015年伝統文化ポーラ賞奨励賞受賞。
2016年京都府文化賞奨励賞受賞。
2019年作品「Leaf Boat」大英博物館買い上げ。
日本工芸会正会員。
未来へつなぐSTORY VOL.8
弊財団の助成先の方に、その成果のご報告と今後の課題について、
原稿をお寄せいただいています。
原稿をお寄せいただいています。
義太夫節 江戸時代の三味線古譜に基づく伝承の音楽学的研究
人形浄瑠璃文楽の音楽「義太夫節」には、西洋音楽の五線譜とは違う数多くの三味線譜が残されています。
これらの古い史料は、従来は現代に絶えた曲目を復元・復曲する材料のひとつとして活用されてきました。
本事業では、現在も演奏されている有名な現行曲『本朝廿四孝』四段目切「十種香」を題材に、三味線音楽がどのように伝承されてきたかを研究しました。
その結果、現在でも演奏されているメロディー以外の旋律型が存在することが具体的に確認されました。
これらの古い史料は、従来は現代に絶えた曲目を復元・復曲する材料のひとつとして活用されてきました。
本事業では、現在も演奏されている有名な現行曲『本朝廿四孝』四段目切「十種香」を題材に、三味線音楽がどのように伝承されてきたかを研究しました。
その結果、現在でも演奏されているメロディー以外の旋律型が存在することが具体的に確認されました。
義太夫三味線
三味線譜入浄瑠璃本の例
(『仮名手本忠臣蔵』筆者個人蔵)
助成概要
事業名 | 義太夫節 江戸時代の三味線古譜に基づく伝承の音楽学的研究 |
---|---|
助成期間 | 2018年4月-2019年3月 |
目的 | 現行曲における古譜の比較考量、および演者への聞き取り等を通じて音楽の変遷、伝承史の総体を音楽学的に裏付ける。 |
成果 | 研究過程で古譜の中に現在通常では演奏されない旋律の存在なども確認され、助成事業ならではの史料収集が行えた。 |
課題 | 今回の研究結果を踏まえて、新たな曲目に取り組んでいくこと。 |
太田 暁子
東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院(音楽学)修了。
専門は義太夫節の音楽学的なアブローチによる研究で、古譜や史料の解読等を行う。
現在、東京音楽大学、常葉大学、常葉大学短期大学部講師を務める。
鶴澤三寿々(義太夫三味線演奏家)として活動しており、1991年竹本駒之助(人間国宝)に入門。
94年初舞台。
2000年義太夫協会新人奨励賞受賞。
01年度文化庁芸術インターンシップ研修員。
07年財団法人清栄会奨励賞受賞。
NHK邦楽番組や、インターネットラジオ「義太夫三味線の鶴澤三寿々と能管の滝沢成実の和楽器ボン・ボヤージュ」のパーソナリティーなども務める。
一般社団法人義太夫協会正会員。
2018年 重要無形文化財「義太夫節」(総合指定)保持者認定。
専門は義太夫節の音楽学的なアブローチによる研究で、古譜や史料の解読等を行う。
現在、東京音楽大学、常葉大学、常葉大学短期大学部講師を務める。
鶴澤三寿々(義太夫三味線演奏家)として活動しており、1991年竹本駒之助(人間国宝)に入門。
94年初舞台。
2000年義太夫協会新人奨励賞受賞。
01年度文化庁芸術インターンシップ研修員。
07年財団法人清栄会奨励賞受賞。
NHK邦楽番組や、インターネットラジオ「義太夫三味線の鶴澤三寿々と能管の滝沢成実の和楽器ボン・ボヤージュ」のパーソナリティーなども務める。
一般社団法人義太夫協会正会員。
2018年 重要無形文化財「義太夫節」(総合指定)保持者認定。